◇ウェルカム・メッセージ第3号◇
(2004年9月21日〜2004年12月5日まで掲載)

18歳人口の減少に伴い私学の経営難が予想されるため、来年度から私立大学・短大の経営状況の実態をつかみ、「倒産」の防止対策に乗り出すことを文部科学省は決めたようだ。年明け早々には文部科学大臣に大学倒産防止に関する法案が答申される。選ばなければ誰でも大学に入れる「大学全入時代」が2009年に到来することは早くから予測されながら、一方では18歳人口が減り続けるのに大学の数は今もなお増え続けている。大学関係者からは「次々に認可する文部科学省の姿勢のほうが問題」との批判の声も少なくない。全入で大学生の平均的学力低下の問題は更に深刻化し、自由競争で破綻リスクは大きくなり、大学のブランド化は一層激しくなるだろう。規制緩和と市場原理は、最高学府の存在意義をも変える大変革期にあることを告げている。大学の認可にあたり量的基準と質的基準とがある。量的基準とは異なり、大学の質の保証とは何か。

  1. 学生教育に不可欠な質の高い教員の確保、
  2. その教育が教員の絶えざる研究に依拠していること、
  3. 納税者の理解を得られること

大学は知の創造(学術研究)と継承(高等教育)と、知の活用としての地域貢献(生涯学習や産学官連携など)の3つの役割、「知のトライアングル」を均整の取れた形で維持することが世界に通用する大学を標榜することである。が、しかし科研費を見る限りすずめの涙にも満たない大学のあまりの数の多さに驚愕する。これで学問の府、大学といえるのか、まともな研究などやれないだろうに。まだ教官の多くが「崇高な精神で大学の先生をしてるから、産学連携などに惑わされたくない」という。少子化を前に、未だ大学改革に取り組んでない大学は倒産を避けることはできない。市場原理は冷淡だ。全入時代に入れば、大学を選ぶのはますます学生主導になる。それこそ自国の大学に見切りをつけ、海外留学が加速している韓国のようになる。優秀な頭脳の海外流出、少子化による経済的損失は計り知れない。地方自治体は三位一体の厳しい財政事情に加え、『大学倒産時代』をも予測しなければならい。なにしろ75万人もの若い人口が減少する。小さな県一つが無人化するくらい大変な事態。大学への関心を高め、大学の経済効果をさらに増進する喫急の対策が必要だと思う。

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