謹啓 春寒の候、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。日頃は格別なご高配を賜り厚くお礼申し上げます。この度、第4回感覚器研究会を福岡で開催予定しております。
感覚器研究は眼と耳を総称した医学研究分野です。第1回会議は昨年5月、 国立東京医療センターで立ち上がった新しい研究会であります。眼科学、耳鼻科学の両分野に関係する我が国屈指の研究者が集う会議です。再生医療などの最先端の医療技術から障害者のケアまで幅広く議論される場でもあります。
一方、近年の情報化の急進的技術革新の流れは、医学分野の領域に留まって研究することを許してくれません。視覚分野を例えれば、我々日本人の生活習慣の変化や合わせて高齢化社会への進展による難治性眼疾患(糖尿病網膜症、 加齢黄斑変性、網膜色素変性、緑内障)等、中途失明に至る病気が増えているからです。つまり従来の視覚障害者に対する旧来的な考え方では、社会問題化しつつある中途視覚障害者の社会参加を促すことは困難な状況にあります。
我が国のデジタル技術の進化は本来、高画質ハイビジョンテレビ等快適なデジタルライフを約束するはずです。しかし、これら情報の取得の大部分が眼を通しておこなわれるため、もし視覚障害に至るとこれらの情報を受け取ることはできません。世界一を誇る我が国最先端の既往技術を視覚分野の研究に活かすためには、異分野が融合し、医療工学、福祉工学、福祉経済学など新たな技術開発イノベーションによって、人間の活動領域を拡大、発展させる斬新な取り組みが必要になってきます。そこで今回、感覚器研究会では視覚分野に特化した会議を、九州大学から提案させていただく機会を得て主催する次第です。
つきましては、お忙しいところ誠に恐縮ですが、是非本会へのご出席お願い申し上げます。詳細につきましては同封のプログラムをご参照下さい。 ご多忙中とは存じますが、宜しくお願い申し上げます。
謹白