◇ウェルカム・メッセージ第16号◇
(2005年4月13日〜2006年5月7日まで掲載)

<<(社)日本経済団体連合会 産業技術委員会 2006年3月22日の記事より引用>>

「知的財産推進計画2006」の策定に向けて

I 基本的な考え方

これまで知的財産戦略本部において策定された知的財産推進計画に基づき、様々な改革がスピード感をもって行われており、政府・与党ほか関係者の取組みを高く評価するところである。

今後の政策の方向性としては、様々な政策が進展してきている分野にあっては、整備された新たな環境下において、産業界等におけるイノベーションの実現を促進していくことが重要である。

そのためには、中長期的な視点に立って、制度の安定的な運用・活用を行い、その経験や結果を次の見直しにフィードバックしていくことがより重要になっていくと思われる。制度の運用・活用の評価に活動の重点を移していくことが期待される。

また、保護中心から活用の促進に向けた法的環境の整備や活用と権利保護の調整といった保護と利用のバランスの確保や活用へ、国内問題から国際間における特許権の調査結果・審査結果の相互利用や海外の知的財産権侵害に対する対策強化といった国際問題へと重点を移していく必要もある。さらには、世界をリードする知的財産立国の実現に向けた新しい課題に取組むにあたって、予期せぬ弊害を生まないよう、実態の把握を含めて、十分な検討が必要と考える。

一方、2006年度に集中改革期間の最終年度を迎えるコンテンツ・ビジネスについては、2006年度にコンテンツ・ビジネスの基盤整備を完成させ、2007年度からはコンテンツ・ビジネスの飛躍的拡大に向けた攻めの改革をさらに推進すべきである。

わが国のコンテンツ・ビジネスは、急速なデジタル化の進展、中国・韓国等アジア諸国の追い上げによる国際競争の激化、流通市場における模造品・模倣品や中古品問題等急激な市場環境の変化の中で対応を迫られており、決して順調な成長過程にはない。そうした中、デジタル化、ユビキタス化、グローバル化といった環境変化に柔軟に対応しつつ、ユーザーの利便性を確保し多様なニーズに応えることと、クリエイターおよびコンテンツ制作に係る事業者の権利を保護し創造を促進することのバランスをとりながら、ハードの業界とも連携して新たなビジネスモデルを構築し、ジャパン・コンテンツの国内外での利活用をさらに円滑化・拡大すべく、今こそ官民一体となった取組みが必要である。

そのために、コンテンツ関連業界を横断する組織として設立された映像産業振興機構を有効に活用し、産学官一体となった取組みを推進すべきである。その際、政府は映像産業振興機構が行う事業を積極的に支援するとともに、民間としても同機構の運営に協力することが必要である。また、コンテンツ産業は他産業への波及効果も大きく、コンテンツ産業振興政策は、観光振興、文化外交、地域活性化等の政策とも大きく関係する。政府は、関連する諸政策との連携を強化し、シナジーを発揮させるべきである。同時に、日本貿易振興機構(JETRO)、在外公館、国際交流基金等の機関の連携をより一層強化するとともに、コンテンツに係る事業をより一層推進すべきである。

以上をうけ、改革の進捗をふまえつつ、これまでの施策が国際競争力の強化にどれだけ貢献したかについての評価を行うとともに、知的財産推進計画も、中長期的視点をふまえて全体のバランスを確保しつつ重点化を図るべきである。

記事全文は以下のURLより
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/009/honbun.html

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