◇ウェルカム・メッセージ第14号◇
(2005年11月21〜2006年2月15日まで掲載)

「人材育成と競争的環境の重視 〜 モノから人へ、機関における個人の重視」
基本計画特別委員会(第12回)科学技術・学術審議会資料より

科学技術力の基盤は人であり、日本における創造的な科学技術の将来は、我が国に育まれ、活躍する「人」の力如何にかかっている。我が国全体の政策の視点として、ハード面でのインフラ整備などモノを優先する考え方から、科学技術や教育など競争力の根源である「人」に着目して投資する考え方に重点を移しつつある(「モノから人へ」)。科学技術政策の観点からも先にインフラ整備ありきの考え方から、優れた人材を育て活躍させることに着目して投資する考え方に重点を移す。潜在的な人材の発掘と育成、人事システムにおける硬直性の打破や人材の多様性の確保、創造性・挑戦意欲の奨励などの政策を進めることにより、創造的な人材の育成を強化するとともに、個々の人材が有する意欲と情熱をかき立て、想像力を最大限に発揮させる科学技術システム改革に取り組む。その際、若手研究者や女性研究者、更には外国人研究者など、多用な個々人が意欲と能力を発揮できるよう根本的な対応に取り組む。科学技術活動の基盤となる施設・設備の整備・充実に当たっても、国の内外を問わず優秀な人材を惹きつけ、世界一流の人材を育てることを目指す。このような人に着目した取組は、我が国の科学技術力を長期的に向上させていくとともに、我が国に対する国際的な信頼権の醸成にも貢献するものである。

科学技術における競争的環境の醸成については、科学技術に携わる人材の創造的な発想が解き放たれ、競争する機会が保障され、その結果が公平に評価されることが重要である。現代の高度化した科学技術活動を進めていくためには、個々の研究者及び研究者を目指す若手人材は適切な施設・設備を有する研究・教育機関に属することが不可欠と考えられるが、競争的な研究環境を整えるためには、縦割りの組織維持管理的な発想で研究・教育機関を運営するのではなく、個々人の発意や切磋琢磨を促すことなどを通じて競争的に研究者を育て、能力を十分に発揮させていくような研究・教育機関となる必要がある。研究・教育機関が個人の科学技術活動の基盤を担う機能を持つことにも留意しつつ、今後は競争環境の強化という観点から「機関における個人の重視」へと政策の転換を図る。

過去のウェルカム・メッセージはこちら