◇ウェルカム・メッセージ第6号◇
(2005年1月24日〜2005年2月6日まで掲載)

■国立大の授業料値上げ、法人化後も「横並び主義」か・・

全国83の国立大(4年制)の内、少なくとも53校が標準額に揃えて値上げ、または値上げの方向にあるようだ。標準額とは国立大の年間授業料の目安となる額。今春それが現行の52万800円から、プラス1万5000円の値上げに伴い(未だ27校が未定であるが)、法人化によって削減される大学の運営交付金に代わる財源確保のため、一斉値上げに踏み切る大学が少なくないということだ。国立大は昨年の法人化に伴い、授業料は各校の判断で決めることができる。標準額が引き上げられても現行のまま据え置くことも、引き下げも、また標準額の1割増までの値上げも可能になっている。

国立大の良さは授業料の安さだけが売りではない。勉学を志す若者に教育の質、研究環境の質やその志の高さを価値に国民の期待に応えてきた。もちろん家庭の事情で経済的に恵まれない子弟であっても、努力すれば難関突破の後、卒業までの支援も得られ多くが今日の我が国の社会の礎を築いてこれたのはいうまでもない。昨今は、東京大学に入学する子弟の大半は年収1000万円を超える家庭からだという。つまり、塾など教育投資に必要な経済環境を維持できる子弟のみ、高い偏差値の大学に入学できる仕組みが今の傾向だというのだ。

これと同じように地方の大学がやるべきだろうか?法人化され、大学個々の地域性や独自性が出せるはずなのに、経営に知恵を使わず安易な値上げに踏み切ることが是だろうか。そんな中、佐賀大学は値上げをしない方針を固めた貴重な1校として、都会から学生を呼ぶ戦略にシフトするようだ。地域との連携など、地元の産・官・民あげて大学との連携を強化、支援して欲しいものだ。

横並びからはブランドは生まれない。競争することこそ楽しく、地域を元気付ける源なのだから。企業も、産業界も、さらに大学も一緒になって地域の危機意識を共有することが産学官連携の目指すところだろう。この理解が地域に薄いと、佐賀大の抵抗も1年で頓挫しかねない。18才適齢人口の減少、少子高齢化の只中では勉学の機会均等に地域を挙げ、益々心を砕くことが重要になっている。

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