◇ウェルカム・メッセージ第4号◇
(2004年12月6日〜2004年12月21日まで掲載)

〜三位一体、縮む社会、変化への発想〜

これまでは企業のあるところに労働力が移動した。しかし人口減少高齢化社会では、逆に労働力のあるところに企業が移動するだろう。消費需要の拡大と多様化、そして地域の労働力構造の変化が要因となり、地域の経済構造を大きく変化させるからだ。

来月といえば年号も変わって平成17年。その新春早々1月21日(金)午前10時〜18時の予定で『変化』と題して、オープン・フォーラムが催される。文部科学省、および文部科学省産学官連携コディネーター第8回全国会議実行委員会九州が主催する会議の一日を、アクロス福岡で一般に公開開催される。ゲストや詳しい内容は、http://blog.livedoor.jp/sunadaphd/ または http://blog.goo.ne.jp/sunadaphd/ のblogを参照の上、多くの方のご出席をお願いし、参加をお待ち申し上げています。

日本は投資財産業の湾岸部の投資は縮小し、消費が拡大する「消費財産業」の方向に大きく傾いている。この結果、産業の多くは需要地、つまり市場に近いところに立地する傾向が一段と強まり、「消費主導の経済」になると考える。逆に大都市は都市の収支の悪化に直面する。これまでの大都市の空間整備のあり方がもたらす最大の問題は、拡大と高度化、経済活動を支えることを都市開発の基本に据えたことによって、高齢者が大都市に集中することになったことである。

がむしゃらに高度経済社会の尖兵を果たしてきた勤労世代が年金世代に移動し、第一次ベビー・ブーマー世代が後6〜7年で65才初老人口の最大値になると、これまでの老人と打って変わって、”新老人”「ビートルズ世代の老人」たちが誕生する。つまり、この世代は「みんな一緒」ではなく、多様な価値観を持つ人々が特徴をなし、「個人」を大切にしたうえで結び付いていく「個の社会」、という社会に移行することが予測される。 

多様なライフスタイル、多様な価値観のもとでは、企業は「売上高の拡大」から「付加価値の向上」に転換せざるを得なくなってきている。縮小する人口、縮む財政負担はマイナス思考ばかりではない。価値観に適合する地域を求めて個人が移動することによって広域地方経済圏が生まれ、人々の多様な生き方を可能にする。そんな地域の実情に合った社会基盤、社会の安全、教育を含め、生涯学習機会の拡大、均一性の強かった各地域が多種多様な方向に拡散していくプロセス、すなわち三位一体から地方分権への移行期という時代認識を持つことも重要だろう。換言すれば、これらパラダイムの変化を大学が自らの社会機能と、いかにして有機的な関係に構築するか、また地域文化のハブ機能、要の役として地域連携の合意形成や地域の利害調整、社会的ストックの活用など、縮む社会に相応しい産学官の連携公式、その“New”を発想する必要がある。併せて文化芸術と科学技術の融合領域、縮小する社会から生まれる個の豊かさの追求、、“New”を発想する文化価値創出にフォーカスする必要があるだろう。

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